闇は広がる
 夜の街が好きだ。
 欲望の渦巻く、利害の一致だけが支える平和。
 アーレ・ハイネセンがこんな街が作りたかったとは思わないが、楽園に近い場所だと思う。
 汚れた世界だとは知っているが、騒がしさが心地よく感じられた。
 同盟にやってきて数年、失望は幾度もしたが絶望した事はない。

「ここはお前さんのような坊やがくる場所じゃないぞ」

 自分もまだ坊やと呼ばれてもおかしくない年頃だという事を置いて、シェーンコップは道の端に座り込んでいる少年に声をかけた。

「……知りたい事が、あるんです」

 間を置いて返ってきた返事よりも、瞳の色に息をのむ。
 暗く沈んだ曇り空のような色の瞳は、初めて見た同盟の空とよく似ていた。
 失望の色だ。

「犯されるって、どんな感じなんだろう」

 単なる好奇心ではない事は、少年の纏う空気で判る。
 どこかで見覚えのある顔だった。
 それが殺人事件の被害者、犯され殺されバラバラにされた女性と気づくのに、さして時間はかからなかった。
 少年は、一緒に連れ去られた弟らしい。

「そんな事を知ってどうするんだ」
「…ただ、姉さんの痛みが知りたいだけです」

 ふわりとした笑みに悪寒がする。
 放っておけば、この少年は死んでしまうような気がした。

「ついて来い」

 少年が嬉しそうに笑うのが嫌でたまらなかった。

バグの過去捏造。続けたい、続くはず、たぶん…。




















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