闇の狭間
 シェーンコップ准将が頻繁にメディカルルームに通っている。
 この事に気づいたのは3日程前だ。
 美人のナースがいるのかと最初は考えていたのだけど、こっそりと覗き込んだ部屋の中にいたのは50代で小太りの男性医師だった。
 いくら准将の守備範囲が広くたって、あの人目当てという事はないだろう。
 とすると、もしかして准将はどこか具合が悪いのだろうか?
 心配になって僕は、思い切って医師に聞いてみた。

「彼に会いに来てるんだよ。古い知り合いみたいでね」

 仕切りのカーテンをめくって会わせてくれたのは、救国軍事会議の工作員という噂のバグダッシュ中佐だ。
 歳はたぶん、ヤン提督とシェーンコップ准将の間くらい。
 眠っているので瞳の色はわからないけれど、上品な顔立ちだと思う。
 …この人がヤン提督の暗殺を企んでいたというのは、本当の事なんだろうか。
 僕はヤン提督の味方だから、そんな事を考える人は許せない。
 だけどグリーンヒル大将の事も好きだったから、心境はちょっと複雑だ。

「…え?」

 眠る中佐を見て1つ気づいた。
 中佐の首筋に小さな紅い点があったのだ。
 一瞬虫さされかと思ったけど、旗艦に蚊はいない。
 ハイネセンに居た時に出来たものにしては、随分新しかった。

「准将が…?」

 古い知り合いとは一体どういう事なのだろう。
 まさか准将もスパイ…いや、そんな事は考えられない。
 二人の関係が全く想像出来ない僕は、やっぱり子供という事なんだろうか。

「信じていいんですよね、准将…?」


 答えを知る1人は、眠り続けたままだ。

いかにも続く!って感じになってしまいました。




















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