サンドイッチで昼食を |
突然の訪問者だったし、意外な来訪者でもあった。
そばかすの好青年(ヤン・ファミリーの中なら十分その部類だろう)の姿を端末で確認したバグダッシュは、扉を開けるのを少し悩んだ。
いつもなら、開けないだろう。
毎年この時期は、一人で過ごしてきたのだから。
なのにバグダッシュは扉を開いた。
居留守だって出来た筈なのに何故なのか、自分でも不思議だったが上官だからと
納得することにした。
「どうしたんです」
「心配、だったからさ」
昼のワイドショーでも見たのだろうか。姉と自分は良く似ていたし、バグダッシ
ュという姓はあまり見ない。
自分がまだ捕まらぬ犯人に怯えているとでも考えたのなら、大きなお世話だ。
「肉は、食べられないんです」
それほど繊細には出来ていない。
自分ではそう思っているのだが、いくつになっても肉は苦手だった。
差し入れの袋からカツサンドを見つけると、買ってきた本人に返す。
流石に全てを返すのは無礼かと思って、フルーツサンドは口に運んだ。
思ったよりも、美味しい。
「でも、ありがとうございます」
せっかく来てくださったのだから。
珈琲を煎れて、昼食にしましょうか。
end
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